「昔のコーラって、今のと味が違った気がする…」「瓶で飲んだコーラは格別だったな…」なんて、懐かしい記憶をお持ちの方も多いのではないでしょうか。昔のコーラと聞くと、レトロな瓶のデザインや、駄菓子屋で飲んだ思い出がよみがえりますよね。しかし、その味や見た目、値段が今とどう違ったのか、具体的に知っている方は少ないかもしれません。
この記事では、「昔のコーラ」をテーマに、多くの人が知りたいであろう情報を網羅的に解説します。味の違いを生み出す甘味料の秘密から、時代を彩った瓶や缶のデザイン、驚きの値段の推移、そしてコカ・コーラ以外の懐かしいコーラまで。この記事を読めば、昔のコーラが単なる飲み物ではなく、その時代の文化や技術を映し出す鏡であったことがわかります。懐かしい思い出に浸りながら、昔のコーラの世界を一緒に探検してみましょう。
昔のコーラはどんな味だった?現代との違いを探る
多くの人が「昔のコーラは今と味が違った」と感じるのには、いくつかの理由が考えられます。甘味料の変化や容器の違い、そして昔ならではのイメージが、その味わいを特別なものにしていたのかもしれません。ここでは、昔のコーラの味の秘密に迫ります。
甘さの秘密は「砂糖」と「果糖ぶどう糖液糖」
しかし、1980年代頃から、より安価で安定的に供給できる「果糖ぶどう糖液糖(コーンシロップ)」が多くの清涼飲料水で使われるようになりました。 果糖ぶどう糖液糖は、とうもろこしなどを原料として作られる液状の糖で、砂糖よりも甘みが強く、まろやかでコクのある甘さが特徴です。
この甘味料の変化により、現代のコーラは昔に比べて「まったりとした甘さ」や「後を引く甘さ」を感じる人がいるようです。 一方で、メキシコで製造されているコカ・コーラは現在でも砂糖を使用しており、「メキシココーク」として日本のファンにも人気があります。 このことからも、甘味料がいかにコーラの風味を左右するかがわかりますね。
ちなみに、「果糖ぶどう糖液糖」と似たものに「ぶどう糖果糖液糖」がありますが、これは果糖とぶどう糖の比率が違うだけで、大きな性質の違いはありません。
昔はもっと炭酸が強かった?
「昔の瓶コーラは、もっと炭酸が強くて刺激的だった」という声もよく聞かれます。これには、容器の密閉性が関係していると考えられます。昔主流だったガラス瓶は、気体を通しにくい性質があるため、炭酸(二酸化炭素)が抜けにくく、長期間強い炭酸を保つことができました。
一方、現代の主流であるペットボトルは、わずかながら気体を通す性質があり、時間とともに少しずつ炭酸が抜けてしまいます。 もちろん、製造技術の向上により、現在のペットボトルも高い密閉性を誇りますが、ガラス瓶の完全な密閉性には及ばない部分があるのかもしれません。
また、飲むときの口当たりも影響している可能性があります。瓶の口は小さく、直接飲むと炭酸の刺激をより強く感じやすいという側面もあります。日本コカ・コーラ株式会社によると、コカ・コーラの味わい自体は130年以上変わっていませんが、飲むときの体調や容器の違いによって、味や炭酸の感じ方が変わることがあるとしています。
瓶で飲むと美味しく感じる理由
多くの人が「瓶コーラは美味しい」と感じるのには、いくつかの理由が考えられます。
- 密閉性と冷却効果
前述の通り、ガラス瓶は炭酸が抜けにくいという特徴があります。 さらに、ガラスは熱伝導率が高いため、冷蔵庫で冷やすと瓶全体がキンキンに冷えます。この冷たさが、コーラの爽快感を一層引き立ててくれるのです。 - 口当たりの違い
瓶から直接飲むときの、ひんやりとしたガラスの口当たりは、缶やペットボトルでは味わえない独特の感覚です。この感覚が、味覚にも良い影響を与えている可能性があります。 - 容量と飲み切るスピード
日本のコカ・コーラの瓶は190mlという、少し物足りないくらいの絶妙なサイズです。 この「もう少し飲みたい」と感じる量だからこそ、一口一口をより美味しく感じ、満足感が高まるとも言われています。 - 懐かしさというスパイス
瓶コーラには、夏祭りや駄菓子屋、銭湯の思い出など、多くの人にとっての懐かしい記憶が結びついています。 このノスタルジックな感情が、コーラの味をより一層特別なものに感じさせているのかもしれません。
コカインは入っていた?都市伝説の真相
「昔のコカ・コーラにはコカインが入っていた」という話は、有名な都市伝説として語り継がれていますが、これは部分的に事実です。
コカ・コーラが発明された1886年当時、原材料の一つとしてコカの葉が使われていました。 コカの葉には微量のコカイン成分が含まれており、当時は疲労回復などに効果があるとされ、医薬品として扱われることもありました。 実際に、発明者であるジョン・ペンバートン博士は薬剤師で、当初は頭痛や疲労に効く「薬」として販売していました。
しかし、20世紀に入る頃にはコカインの危険性が認識されるようになり、国民の不安感も高まりました。 これを受けて、コカ・コーラ社は1903年にコカの葉からコカイン成分を除去する処理を行うようになりました。 もちろん、現在のコカ・コーラにはコカイン成分は一切含まれていません。
この歴史的な事実が、尾ひれがついて都市伝説として広まったと考えられます。
懐かしのデザイン!昔のコーラの瓶と缶

昔のコーラの魅力は、味だけではありません。時代を感じさせるレトロな容器のデザインも、多くの人々を惹きつけてやみません。ここでは、歴代のボトルや缶のデザイン、そして懐かしの自動販売機について振り返ります。
レトロで可愛い!歴代ボトルデザインの変遷
コカ・コーラの象徴ともいえる、くびれのある独特な形のボトル。これは「コンツアーボトル」と呼ばれ、1915年に誕生しました。 そのデザインの条件は「暗闇で触ってもコカ・コーラだとわかること」。 このボトルは、カカオ豆の形にヒントを得てデザインされたと言われています。
日本では、戦後に進駐軍向けに輸入された透明なガラス瓶が初期のボトルとして知られています。 その後、おなじみの緑がかった瓶に白い文字で「コカ・コーラ」とカタカナでプリントされたデザインが登場し、長く親しまれました。 時代によってロゴの書体やデザインが少しずつ変化しており、古いボトルはコレクターズアイテムとしても人気があります。
| 年代 | 主なボトルの特徴 |
|---|---|
| 1890年代 | ハチンソン・ボトルと呼ばれる、直線的な形状のボトル。 |
| 1900-1916年 | ストレートサイド・ボトル。これも直線的な形状。 |
| 1915年 | コンツアーボトルの原型が誕生。 類似品対策として開発された。 |
| 1957年 | 日本での一般販売開始。当初は外国人向け施設などが中心だった。 |
| 1960年代以降 | カタカナロゴのボトルが広く普及。最も親しまれたデザインの一つ。 |
スチール缶からアルミ缶へ。缶のデザインの歴史
今では当たり前の缶コーラですが、その歴史は瓶よりも新しく、容器の素材や形状も時代と共に進化してきました。
初期のコーラ缶は、現在のアルミ缶とは異なり、スチール(鉄)で作られていました。 開け方も今とは違い、缶切りで2つの穴を開けて飲む「フラットトップ」と呼ばれるタイプが主流でした。
その後、1960年代になると、指で引き上げて開ける「プルタブ」が登場し、利便性が大きく向上しました。しかし、プルタブは開封後にゴミとして捨てられることが多く、環境問題や安全性の観点から、1990年代頃にはタブが缶から離れない「ステイオンタブ」(現在の形式)へと改良されていきました。
素材も、より軽くてリサイクルしやすいアルミへと移行していきました。 デザイン面では、時代ごとのロゴやキャンペーンと連動した記念缶が数多く登場し、これもまたコレクターの収集対象となっています。特にペプシコーラは、Jリーグとのタイアップキャンペーンなど、時代を反映したデザイン缶を多く発売していました。
懐かしの自動販売機と販売形態
昔のコーラといえば、瓶専用の自動販売機を思い出す方も多いでしょう。 日本で最初のコカ・コーラの自動販売機は1962年(昭和37年)に登場しました。
当時の自販機は、お金を入れると扉のロックが外れ、自分で瓶を引き抜く半自動タイプが主流でした。 そして、取り出した瓶の王冠を、自販機の側面に取り付けられた栓抜きで「シュポッ」と開けるのがお決まりでした。 この一連の動作そのものが、特別な体験として記憶に残っています。
また、昔は酒屋さんや駄菓子屋さんの店先でケース買いし、飲み終わった空き瓶をお店に返却すると、1本あたり10円が返ってくる「瓶保証金制度」がありました。 このため、お店の裏には空き瓶の入った赤いケースが山積みにされているのが日常的な風景でした。 子供たちにとっては、空き瓶を集めることがお小遣い稼ぎの一つにもなっていた時代です。
時代を映す鏡。昔のコーラの値段と歴史
今では手軽に楽しめるコーラですが、日本に登場した当初は高級な飲み物でした。その値段は、時代の経済状況を反映しながら変化してきました。ここでは、コーラの日本上陸から現在に至るまでの歴史と値段の移り変わりを追ってみましょう。
日本上陸はいつ?コーラが高級品だった時代
日本にコカ・コーラが初めて輸入されたのは大正時代にさかのぼりますが、本格的に広まるのは第二次世界大戦後のことです。 終戦後、進駐軍と共に日本に上陸したコーラは、当初、米軍基地内などで消費される、いわば「アメリカの象徴」のような飲み物でした。
一般の日本人向けに販売が許可されたのは1950年代後半になってからですが、当初は販売場所が外国人客の多いホテルなどに限定されており、誰もが気軽に飲めるものではありませんでした。 1961年に輸入が自由化されてから、フランチャイズ方式で全国にボトラー(製造・販売会社)が設立され、本格的な普及が始まりました。
ペプシコーラもほぼ同時期に日本での販売を開始しており、ここから両社の長い競争の歴史がスタートします。
時代ごとの値段の推移
コーラの値段は、日本の高度経済成長や物価の上昇と共に変化してきました。
| 年代 | サイズ | おおよその値段 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 1965年頃 | 瓶 (190ml) | 35円 | 当時の大卒初任給が約2万円台の時代。 |
| 1973年頃 | 瓶 (190ml) | 40円 | 第一次オイルショックの影響。 |
| 1980年代 | 缶 (250ml/350ml) | 100円 | 自販機で「ワンコイン」が定着。 |
| 1990年代前半 | 缶 (350ml) | 110円 | 消費税導入後の価格。 |
| 2000年代 | ペットボトル (500ml) | 120円~150円 | ペットボトルが主流に。長らく150円の時代が続いた。 |
| 2014年以降 | ペットボトル (500ml) | 160円~ | 消費税8%への増税を機に値上げ。 |
懐かしのCMやキャッチコピー
昔のコーラの記憶を語る上で、テレビCMや広告は欠かせません。特にコカ・コーラのCMは、その時代のトップスターを起用し、若者文化を象徴するような爽やかなイメージで多くの人の心に残っています。
「スカッとさわやかコカ・コーラ」というキャッチコピーは、まさしく時代を象徴する言葉となりました。加山雄三さんをはじめとする多くの有名人がCMに登場し、仲間と集まってコーラを飲む楽しさを伝えました。
一方、ペプシコーラも「ペプシチャレンジ」と題した比較広告や、マイケル・ジャクソンなどの世界的なスターを起用したCMで対抗し、「コーラ戦争」として大きな話題を呼びました。 日本では、独特のキャラクター「ペプシマン」が登場するCMも人気を博しました。
これらのCMソングやキャッチコピーは、今でも口ずさめるという方も多いのではないでしょうか。それだけ、コーラが飲み物としてだけでなく、文化として深く根付いていた証と言えるでしょう。
コカ・コーラだけじゃない!懐かしのコーラたち

コーラといえばコカ・コーラを思い浮かべる人がほとんどですが、昔はほかにも様々なコーラが存在し、市場を賑わせていました。永遠のライバルであるペプシコーラや、今では見かけることが少なくなったローカルコーラなど、懐かしのブランドを振り返ってみましょう。
ペプシコーラの歴史と挑戦
ペプシコーラは、コカ・コーラに次ぐ世界的なコーラブランドです。 その歴史は古く、1893年に薬剤師のケイレブ・ブラッドハムによって消化不良の治療薬として開発されたのが始まりです。 「ペプシ」という名前は、消化酵素の「ペプシン」に由来すると言われています。
日本では1950年代から販売が開始され、常にコカ・コーラのライバルとして存在感を示してきました。 特に有名なのが、目隠しで味を比べてもらう「ペプシチャレンジ」という大胆なマーケティング戦略です。 また、時代に合わせて様々なフレーバー展開を行ったのもペプシの特徴です。きゅうり風味の「ペプシキューカンバー」や、あずき風味の「ペプシアイスキューカンバー」など、ユニークな期間限定商品を次々と発売し、大きな話題を呼びました。
近年では、サントリーが日本での製造販売権を得て、「ペプシ<生>」など日本市場に特化した商品を開発し、人気を博しています。
今はなき?ローカルコーラや派生商品
全盛期には、全国各地に中小の飲料メーカーが製造する「ローカルコーラ」が存在しました。地域のボトラーが独自のブランドで販売していたもので、今となっては幻の存在となっているものも少なくありません。例えば、昔の日本には「ウインコーラ」や「ミッションコーラ」といったブランドもありました。
また、大手メーカーからも様々な派生商品が登場しました。コカ・コーラ社からは、ドクターペッパーに似た風味の「ミスターピブ」、チェリー風味の「チェリーコーク」、柑橘系のフレーバーを加えた「シトラ」などが発売されましたが、定番商品とはならず、現在では入手困難なものがほとんどです。
これらのコーラは、特定の地域や時代にしか味わえなかった特別な存在として、今もなおファンの間で語り継がれています。
復刻版で味わえる昔のコーラ
「昔の味をもう一度体験したい」というファンの声に応えて、時折、復刻版のコーラが限定販売されることがあります。
コカ・コーラは、創業当時のレシピやボトルデザインを再現した記念ボトルを発売することがあります。 例えば、コカ・コーラ誕生100周年を記念して、1905年頃のデザインを復刻したボトルが販売され、話題となりました。 これらの復刻版は、甘味料に砂糖を使用していることが多く、昔ながらのスッキリとした味わいを楽しめると評判です。
また、ペプシコーラも過去の人気フレーバーを期間限定で復活させることがあります。これらの復刻商品は、コンビニエンスストアやスーパーマーケットで販売されることが多いので、情報をチェックしていれば、懐かしの味に再会できるかもしれません。昔を懐かしむ世代だけでなく、当時の味を知らない若い世代にとっても、新鮮な体験となるでしょう。
まとめ:昔のコーラが教えてくれる時代の記憶

昔のコーラについて、その味やデザイン、歴史を振り返ってきました。
- 味の違い: 主に甘味料が砂糖から果糖ぶどう糖液糖に変わったことが、現代との味の違いを生んでいます。 また、炭酸が抜けにくいガラス瓶も、昔のコーラの刺激的な味わいの一因でした。
- デザイン: 「暗闇で触ってもわかる」ことを目指したコンツアーボトルや、栓抜きで開ける瓶の自販機は、昔のコーラを象徴する存在です。
- 歴史と値段: 日本に上陸した当初は高級品で、時代と共に値段も変化し、私たちの暮らしに身近な飲み物になっていきました。
- 多様なブランド: コカ・コーラだけでなく、挑戦的なペプシコーラや、今はなきローカルコーラも、コーラの歴史を彩ってきました。
昔のコーラは、単に喉の渇きを潤す飲み物ではありませんでした。それは、家族や友人との楽しい時間の中心にあり、時代の文化や技術の進化を映し出し、そして一人ひとりの大切な思い出と結びついた特別な存在だったのです。この記事を通して、昔のコーラが持つ奥深い魅力に、改めて気づいていただけたなら幸いです。



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